review
赤い点滅の中、少女とロバが映し出されて始まるイェジー・スコリモフスキ監督の『EO』は、「詩的」や「エッジの効いた」と形容される映像表現を期待していくとつまらなく感じるかもしれないが、喜劇映画として観れば途端に刺激的になる。喜劇といってもドタ…
女性が恋人からの手紙を読み上げている。しかし、声が聴こえるのみで姿は見えない。窓の外の、通りの向こうの建物では、手紙の差出人であるマカリオの代わりに雇われた会計士が仕事をしている。しかし、カーテンが輪郭を曖昧なものとしているため、その朧げ…
コロンブスのサイン、石碑、航海の様子を描いた絵が映される。ナレーションは、コロンブス役のジョゼ・ルイス・トーレス、続いてリカルド・トレパによって語られる。 移住。1950年。 鳥が羽ばたく音、鳥の鳴き声が聞こえてくる。低い位置に構えられた手持ち…
A.Sプーシキンの民話『漁師と魚の物語』の冒頭部から取られた、お伽話のような『青い青い海』というタイトルがついたボリス・バルネット監督の映画は、極めて無意識的な欲望「見ること」を可視化させてしまった作品の一つだ。 本来であれば、ただの海の映像…